夜勤パートのはじまり

日本の小売業にセルフサービスが導入されたのは昭和29年のことでした。一日のお店の労働力の中で最も変動が激しい業務は、レジの操作でした。それまでのお店は金銭の受け取りは1ヶ所でしたが、セルフサービス方式では5~10ヶ所並ぶレジ操作だったのです。正規雇用の従業員では人件費がかかりすぎるため、アメリカ方式の時間雇用で非正規従業員を採用したのです。これが日本におけるパートタイマーの始まりでした。繁忙期に応じた労働力を揃えることで、小売業だけではなく様々な業種に広がりました。特に、流通業の繁忙期は土日・祭日にピークを迎えるため、平日の労働力の3倍から5倍の人材を必要としました。

昭和40年代後半にコンビニエンス・ストアが日本でも始まりました。当初は朝早くから夜遅くまでの営業でしたが、売上高の取れない店舗では24時間営業が始まります。これに伴い、パート労働の夜勤雇用が始まりました。更に、これに連動して商品加工、物流も24時間で稼働するようになり、流通業界全体が夜勤で働く人が増加することとなります。日勤で働く時給よりも高いため、夜勤にシフトして働く人たちも出てきました。1日24時間に労働の機会を得ることができるため、主婦や学生の雇用機会は一段と増えたのです。一日を二つの会社で働き、賃金を倍増することも可能となったのです。しかし、人間の睡眠に対する生理現象が逆転するために、生活のリズムが狂うので工夫をする人たちが増えています。